着付け教室でトラブルに遭わないために


以下は実際に消費者センターに寄せられた案件です。

 

【事案 29】着付教室の解約に関する紛争

 

1.事案の概要

 

<申請人の主張>
平成 
24 年 月、インターネット上の共同購入のクーポンを使って、相手方で初めて着付けの

レッスンを受けた。翌月、回目のレッスンを受けた際、相手方から「着付教室の先生になっ てほしい。40 万円の講師科コースを選択すれば、着物の仕事につながる」などと勧誘された。 翌月には、「40 万円のコースを契約すれば帯結び 50 種類を全て教える。成人式までに一人前 となり初仕事ができる。成人式後に教室の先生をお願いしたい。生徒 人を上位のコースに勧 誘できれば 20 万円のもうけになる」などと勧誘されたため、資格を取得でき、初仕事が約束さ れていると思い、40 万円のコース契約を締結した。しかし、実際は共同購入のクーポンを使用 して教室に来る生徒を有料帯結びや他の有料コースへ誘導するものであった。

レッスンをしてもらえず、全ての帯結びも教えると言われたのにそれが履行されなかったた め、返金を求めたい。相手方は地元の消費生活センターのあっせんにも応じない。

 

<相手方の対応> 本手続により解決を図る意思がある。

申請人の請求を認めない。申請人の意思に基づき契約に至っている以上、解約は認められない。 また、申請人はいくつかの技術を学んでいるため、全額返金はあり得ない。

 

2.手続の経過と結果

 

申請人の申請書及び関連資料、相手方の回答書・答弁書等の内容を踏まえ、申請人からは相 手方においてレッスンを受講するに至った経緯やレッスンに係る契約内容等について具体的に 聴取する一方、相手方からはレッスン開始前の説明状況をはじめとして、契約書等の有無、着 付講師認定後の着付業務の実績等を聴取し、申請人の主張に対する認否及び反論について確認 した。

申請人の主張によると、インターネット上で相手方の共同購入のクーポンを見て、約 2,000 円(回あたり)で 10 回程度の着付レッスンを受講することができると知り、着付けに関心を 寄せるとともに低価格であることなどを理由に相手方を訪問した。その際、相手方より 40 万円 の講師科コースを受講して、相手方より認定を受ければ着付教室の講師の業務が与えられるこ とを前提とした入会の勧誘を受けたことなどから、同コースに申し込んだとのことであった(そ の際、契約書面は作成されなかった。)。また、申込後、着付レッスンでは、約束された帯結び を教授されることはなく、他の生徒の勧誘行為を要請されるなどしたため、既払金額の全額返 金を求めたいとのことであった。さらに、本事案の解決の方向性に関して、本事案においては、 特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引法」という。)における業務提供誘引販売取引(51 条)に該当し、契約書(法定書面)が交わされていない以上、同法に基づいて、クーリング・ オフを主張したいと述べ、改めて全額返金を求めるとの強い意向を示した。

 

一方、相手方の答弁及び反論によると、申請人の自由意思に基づいて、レッスンを受講し、 講師認定も受けたものの、一方的に申請人が受講拒否している状況であるとのことであった。 なお、本事案に係る契約書等の合意文書については一切交わしておらず、教室を開講以来、約30年間、こうした文書を受講生との間で締結したことはなかったとのことであった。また、申 請人に成人式の際の着付業務を依頼し、これに係る報酬も支払い済みであるとの答弁を行った。 本事案の解決の方向性としては、既払金額の全額返金は到底承服できず、申請人が引き続いて 相手方の教室にてレッスンを受講するとの対応であれば気持ちよく受け入れたいとのことであ った。加えて、相手方はこうした対応策以外の解決案は一切存しないと答弁した。

 

以上の両当事者の聴取内容を踏まえ、仲介委員は、相手方に対して、本件契約にあたって、 書面を交わしていないことなどの問題性を指摘し、特定商取引法上の業務提供誘引販売取引に 該当する可能性があることを示唆するとともに、法定書面不交付によるクーリング・オフ解除 の可能性も考えられる旨を指摘した。また、本件契約締結前の申請人に対する説明の適切性に ついても指摘し、本事案の早期解決のための譲歩を促した。そうしたところ、相手方は、現在 のところ、法定書面の整備を行っていること、並びに業務提供誘引販売取引の該当性について は裁判手続上で決着を図りたいことなどを答弁した。また、改めて相手方は、申請人が既に着 付けに係る技術を習得し、契約上も一切問題性はないことを示し、申請人が相手方の教室に来 訪し、レッスンを受講することを唯一の解決案として再提示するに至った。

こうした答弁に対して、さらに仲介委員は、本手続の特質(柔軟性、迅速性等)に鑑みて、 互譲の精神に基づいた譲歩を促したものの、相手方の本事案をめぐる対応は変化しなかった。 そうしたことから、本手続をさらに進行したとしても和解が成立する見込みはないと判断し、 手続を終了した。

 

無料体験レッスンでは入会は慎重に!

 

無料体験レッスンを行っている着付け教室で、1円もかからず完全無料で体験レッスンや見学会を行う教室は特に気をつけたほうがよいかもしれません。とは言っても、そうした教室でも良心的に運営している教室もあります。ですが、なかには体験レッスンをきっかけに入会をしつこく迫ってくる教室もあるかもしれません。教室の雰囲気や教え方などを見て、通う気があれば検討すればいいですし、ちょっと違うなと感じたら断ればいいのです。人によっては断りにくかったり、断りにくい雰囲気にさせてなかなか帰さない教室もあるようです。向こうも入会させたい、通ってほしいという気持ちが強いのでしょうから必死で営業してくると思います。

 

上記の消費者センターに寄せられた事案のように、不都合な契約を結ばされトラブルに巻き込まれないように、通っている人たちのクチコミを読むなどして参考にしてみたほうがよいでしょう。

 

>>着付け教室のクチコミ